ギフテッドの研究者が解説する映画『ギフテッド』。
- 2017.11.23 Thursday
- 01:05
11月中旬に
National Association for Gifted Children(NAGC)
のannual conventionがありました。
私は当然ながら参加していませんが
UConnのレンズーリ教授、リース教授など教授の方々はもちろん
博士課程の皆さんも発表していて
おぉ〜〜!
と勝手に応援しておりました。
NAGCのコンベンションは
毎年ギフテッド/ギフテッド教育の大御所&若手の研究者が一斉に集まる一方で
ギフテッドの子を持つ家族や
ローカルのギフテッド・プログラムの教師、コーディネーターなど
誰でも気軽に参加できるため
私も一度はぜひとも参加してみたいと思っています。
ちなみに
日本では全米天才児協会と意訳されることもあるNAGCの会員には
誰でもなれますよ。。
年会費は必須ですが、ご興味ある方はコチラをどうぞ。
蛇足ながら
息子の学校のギフテッド・プログラムの先生方もブースを構え
又
何やらプレゼンもされていたそうです。
私の今学期のクラスメイト(=GATE teacher)も参加してきたそうですよ。
彼女は会場で
現在 コース内で使用しているテキストの筆者かつUConn卒業者である教授に
「偶然会った!話してきた!」
と興奮していました(笑)
ギフテッドの研究自体が比較的新しいためか
大御所の教授の方々
例えばUConnの教授の方々とハワード・ガードナー教授等が普通に皆知り合いで
いまだに毎回びっくりしてしまいます。
「当時ジョーはこう主張していたけれどボブは意を唱えていて、どうのこうの・・・」
などという教授のレクチャーを聞きながら
ジョーはレンズーリ教授だけど・・ボブ・・・・って誰だっけ??
と話半分に記憶の糸をたぐり寄せていたら
そのボブは普通にロバート・スタンバーグ教授だった、、、
私の記憶の糸先には存在し得ない方だった、、、
とか (^^;;
皆さん同世代なのですね。
まあそれはいいのですが
今回のコンベンションでは
映画『ギフテッド』の脚本家トム・フリン氏がゲストとして招かれており
フリン氏の『ギフテッド』にまつわる話&裏話を
ギフテッド研究者の大御所である心理学者シルビア・リム教授が
専門家として解析されていました。
下記が↓フリン氏とリム教授の対談のFB動画です。
https://www.facebook.com/nagcgifted/videos/1524216810987270/
1時間半弱の長い対談でしたが
リム教授の専門家としての分析、解説が非常に面白く
私の今学期最後の三大プロジェクト第3弾にも大変役に立つ内容でした。
(このLIVEの存在を知らせてくれた友人へ。いつもありがとう。。)
時間のある方は(英語ですが)ぜひぜひ!
対談は動画の10.00頃から始まります。
対談のなかでリム教授が指摘され
改めて「大事だな」と感じた点を以下に幾つか挙げたいと思いますが
映画を観たことが大前提となりますので、ご了承ください。
いよいよ日本公開です。
【映画『ギフテッド』におけるリム教授のポイント】
*メアリーは数学の超ギフテッドであるが、ギフテッドには “マイルドにギフテッド” からメアリーのように “超ギフテッド” まで、様々存在している。
*メアリーのような超ギフテッド(PG/Profoundly Gifted)は、ギフテッド人口のなかでも数少ないが、存在する。
*メアリーは数学のギフテッドだが、ギフテッドのなかには(数学や、ほか理系分野ではなく)文学のギフテッドや芸術のギフテッドなども同等に存在している。(映画でメアリーを数学のギフテッドにしたのは、フリン氏の家族のなかに数学のプロディジーがいるからだそう)
*メアリーにも顕著に見られるように、ギフテッドは不均衡に成長していくのが特徴的だ。(例えばスクールバスのなかで いじめっ子に立ち向かい容赦なく怪我をさせてしまう箇所など、正義感が強い部分もさることながら、知的な部分が大学生以上に秀でているのに対して精神的に未熟というか、そこは実年齢相応というか・・・)
*映画ではメアリーの叔父フランクと祖母エブリンが “メアリーの育て方” について対立するが、どちらの主張も間違ってはいない。
*しかし、フランク、エブリン、どちらも極端に突っ走っており、実際の話であったらどちらの育て方も微妙である。
*フランクも(メアリーの母である姉の死のトラウマから)「メアリーは子どもらしく普通に育てたい」と頑なになり過ぎているが、結局のところホームスクールで(教材を与えたのか実際に求められるまま教えたのかは不明だが)メアリーが微分積分まで習得できる環境を整えたのはフランク自身であり、そこにフランクの葛藤が見られる。
*メアリーのように “学びたい子ども” のニーズを「子どもらしく育てたい」「普通に育てたい」からといった理由で無視するのは情動的にも絶対にいけない。先に先にと学んでいくのがメアリーにとっての “普通” なのだから。
*この映画のなかでのベストな教育オプションは、メアリーの学校が勧め(フランクが拒否した)ギフテッド・スクールにメアリーを通わせることだった。ギフテッド・スクールはギフテッドのアカデミック・ニーズ、ソーシャル&エモーショナル・ニーズを理解している。フランクが望んでいた “同年代の友達ができる環境” もメアリーに与えることができた。不均衡に成長していくギフテッドの、いずれ巣立つときのための最適なソーシャル・トレーニングの場ともなり得た。ギフテッド・スクールはそのために存在している。
*才能開花に執着するエブリンも、やはり数学の超ギフテッドだった娘(メアリーの母)を死に追いやってしまったほど極端だが、フランクのように「普通の子どもらしく育てたい」とメアリーの才能を極端に否定する育て方も(そのような家族に実際何度も遭遇してきたが)ギフテッドの子達を追い詰めてしまいかねない。
〜シルビア・リム教授と脚本家トム・フリン氏との対談より抜粋@NAGC2017〜
カクタス通信にご訪問くださりありがとうございました。
National Association for Gifted Children(NAGC)
のannual conventionがありました。
私は当然ながら参加していませんが
UConnのレンズーリ教授、リース教授など教授の方々はもちろん
博士課程の皆さんも発表していて
おぉ〜〜!
と勝手に応援しておりました。
NAGCのコンベンションは
毎年ギフテッド/ギフテッド教育の大御所&若手の研究者が一斉に集まる一方で
ギフテッドの子を持つ家族や
ローカルのギフテッド・プログラムの教師、コーディネーターなど
誰でも気軽に参加できるため
私も一度はぜひとも参加してみたいと思っています。
ちなみに
日本では全米天才児協会と意訳されることもあるNAGCの会員には
誰でもなれますよ。。
年会費は必須ですが、ご興味ある方はコチラをどうぞ。
蛇足ながら
息子の学校のギフテッド・プログラムの先生方もブースを構え
又
何やらプレゼンもされていたそうです。
私の今学期のクラスメイト(=GATE teacher)も参加してきたそうですよ。
彼女は会場で
現在 コース内で使用しているテキストの筆者かつUConn卒業者である教授に
「偶然会った!話してきた!」
と興奮していました(笑)
ギフテッドの研究自体が比較的新しいためか
大御所の教授の方々
例えばUConnの教授の方々とハワード・ガードナー教授等が普通に皆知り合いで
いまだに毎回びっくりしてしまいます。
「当時ジョーはこう主張していたけれどボブは意を唱えていて、どうのこうの・・・」
などという教授のレクチャーを聞きながら
ジョーはレンズーリ教授だけど・・ボブ・・・・って誰だっけ??
と話半分に記憶の糸をたぐり寄せていたら
そのボブは普通にロバート・スタンバーグ教授だった、、、
私の記憶の糸先には存在し得ない方だった、、、
とか (^^;;
皆さん同世代なのですね。
まあそれはいいのですが
今回のコンベンションでは
映画『ギフテッド』の脚本家トム・フリン氏がゲストとして招かれており
フリン氏の『ギフテッド』にまつわる話&裏話を
ギフテッド研究者の大御所である心理学者シルビア・リム教授が
専門家として解析されていました。
下記が↓フリン氏とリム教授の対談のFB動画です。
https://www.facebook.com/nagcgifted/videos/1524216810987270/
1時間半弱の長い対談でしたが
リム教授の専門家としての分析、解説が非常に面白く
私の今学期最後の三大プロジェクト第3弾にも大変役に立つ内容でした。
(このLIVEの存在を知らせてくれた友人へ。いつもありがとう。。)
時間のある方は(英語ですが)ぜひぜひ!
対談は動画の10.00頃から始まります。
対談のなかでリム教授が指摘され
改めて「大事だな」と感じた点を以下に幾つか挙げたいと思いますが
映画を観たことが大前提となりますので、ご了承ください。
いよいよ日本公開です。
【映画『ギフテッド』におけるリム教授のポイント】
*メアリーは数学の超ギフテッドであるが、ギフテッドには “マイルドにギフテッド” からメアリーのように “超ギフテッド” まで、様々存在している。
*メアリーのような超ギフテッド(PG/Profoundly Gifted)は、ギフテッド人口のなかでも数少ないが、存在する。
*メアリーは数学のギフテッドだが、ギフテッドのなかには(数学や、ほか理系分野ではなく)文学のギフテッドや芸術のギフテッドなども同等に存在している。(映画でメアリーを数学のギフテッドにしたのは、フリン氏の家族のなかに数学のプロディジーがいるからだそう)
*メアリーにも顕著に見られるように、ギフテッドは不均衡に成長していくのが特徴的だ。(例えばスクールバスのなかで いじめっ子に立ち向かい容赦なく怪我をさせてしまう箇所など、正義感が強い部分もさることながら、知的な部分が大学生以上に秀でているのに対して精神的に未熟というか、そこは実年齢相応というか・・・)
*映画ではメアリーの叔父フランクと祖母エブリンが “メアリーの育て方” について対立するが、どちらの主張も間違ってはいない。
*しかし、フランク、エブリン、どちらも極端に突っ走っており、実際の話であったらどちらの育て方も微妙である。
*フランクも(メアリーの母である姉の死のトラウマから)「メアリーは子どもらしく普通に育てたい」と頑なになり過ぎているが、結局のところホームスクールで(教材を与えたのか実際に求められるまま教えたのかは不明だが)メアリーが微分積分まで習得できる環境を整えたのはフランク自身であり、そこにフランクの葛藤が見られる。
*メアリーのように “学びたい子ども” のニーズを「子どもらしく育てたい」「普通に育てたい」からといった理由で無視するのは情動的にも絶対にいけない。先に先にと学んでいくのがメアリーにとっての “普通” なのだから。
*この映画のなかでのベストな教育オプションは、メアリーの学校が勧め(フランクが拒否した)ギフテッド・スクールにメアリーを通わせることだった。ギフテッド・スクールはギフテッドのアカデミック・ニーズ、ソーシャル&エモーショナル・ニーズを理解している。フランクが望んでいた “同年代の友達ができる環境” もメアリーに与えることができた。不均衡に成長していくギフテッドの、いずれ巣立つときのための最適なソーシャル・トレーニングの場ともなり得た。ギフテッド・スクールはそのために存在している。
*才能開花に執着するエブリンも、やはり数学の超ギフテッドだった娘(メアリーの母)を死に追いやってしまったほど極端だが、フランクのように「普通の子どもらしく育てたい」とメアリーの才能を極端に否定する育て方も(そのような家族に実際何度も遭遇してきたが)ギフテッドの子達を追い詰めてしまいかねない。
〜シルビア・リム教授と脚本家トム・フリン氏との対談より抜粋@NAGC2017〜
カクタス通信にご訪問くださりありがとうございました。